外出するとほとんどの場合、具合が悪くなる 小柏まき です。
うつ病を繰り返し、強迫性障害に悩まされるほかに、というべきか、それらがそれぞれに関係しつつ厄介な状態にある中に含まれているというべきかわかりませんが、社交不安障害は私にとって大きな要素の一つです。
社交不安障害(SAD)の症状で、パニック発作が起きてしまうことが、私の人生ではとても大きく日常の生活や楽しみを侵害します。
元彼とは9年半付き合いましたが、夫婦に近い関係であったにも関わらず、社交不安障害の対人恐怖の対象外にはなりませんでした。
あるとき、二人で飲食店に行って さあビールを飲もうというときに、会食恐怖が表れて自分がバラバラになってしまいそうな強い不安と、どうやってビールを口に運んだらいいのかわからない、手が身体がどんな姿勢を取っていいかわからなくて震えてしまい、“ビールを飲む” という行動が出来なくなってしまった……ということがありました。
美味しい物を飲み食いする満足感や、外食に出掛けた楽しさは、強い不安にかき消され、相手に変に思われているのではないかと恥ずかしくて仕方なくなり、そんな些細な楽しみさえ満喫できない自分が心底嫌になり、消えてなくなりたい気持ちでいっぱいになります。
これは生まれ育った実家の家族でも同様で、私はしばしば食事のときに静かに絶望していました。
近頃は うつ病の状態がよくなってきたためか、毎日欠かさず家族と一緒に食事しているための慣れか、家族との食事で発作に悩まされることはめっきり減りました。
これで、個人的に会食や人との交流が嫌いだったら、機会を避ける方だけ向いていられたのにと、悲しくなります。
会食恐怖以外の発作で厄介なのは、いわゆるパニック発作です。
例えば、電車に乗ると、頭が気持ち悪い感覚や頭痛・目眩・温感冷感(発汗・暑さと寒さが同時にある)・息苦しさ・身体の脱力や震え・悪心 などの症状が出ることが多いです。
電車に乗るばかりではなく、人が往き来する場所へ行っても同じことが起こるので、街中や美術館では大抵具合が悪くなります。
しかし、私にとっては発作が起きて苦しいのは当たり前のことなので、電車で通勤通学していましたし、見たい作品があるときには美術館に行きます。
苦痛があるから、という理由で行動せずにいたら、楽しいことの多くを諦めなくてはいけないからです。
そして、ツラいのは対人恐怖です。
店員さん、主治医、知人、親戚……。顔を合わせただけで、極度の緊張状態になって、立っている(座っている)姿勢が保てないくらい身体が震えて、コミュニケーションを取ることや最低限の必要なやり取りさえどうでもよくなり逃げ出したい一心になります。
症状が出ないときもあります。症状が出るときと出ないときで何が違うのか、全くわからず予測できません。
挙動不審なコミュ障というキャラでいいのに、変な奴と思われたってどうでもいいのに、考えや気持ちや体調を精一杯整えても、症状が出るスイッチは私の意思とは別に勝手に入ってしまうのです。
また、こういった症状は、恥ずかしいので隠したい気持ちが働くのと、自分の話をするというコミュニケーションを取らなくてはいけない上に、それを乗り越え意を決して話しても理解されないことが多いです。
実際に、主治医に相談しても、少し的外れなアドバイスを受けます。「それが出来ないのが問題なのだけど……」という感じです。
緊張する場面に使える頓服はありますか? と訊くと、普段から食後に飲んでいる抗不安薬を、一日量を変えずに時間をずらして飲む方法を勧められました。
心身ともに、疲弊してしまいます。