考えの調理場

不登校から教員免許取得。【反復性うつ病性障害&強迫性障害】女の、考えの調理場。

【絵】自分を納得させるまで

少し前に鉛筆画にハマった 小柏まき です。

前回、リアルな人物の顔を描こうと挑戦してみて、出来上がりを見てみると参考にしていた画像とだいぶ違っていると感じました。一言でいえば、似ていない感じがしました。しかしながら、4Bの鉛筆をカッターで削ることから始めて、A4サイズのケント紙に収まる大きさに見た画像を頭の中で変換(拡大)して描いていき、デッサン用の練り消しを使って消すというのを、完成までやってみられたというのが自分の中では大きな達成感がありました。

うつ病で、身体が怠かったり痛かったりしない時間がなかった頃には出来ないことでした。また、集中力と気力が続くかどうかはやってみるまでわかりませんでした。

私は反復性うつ病性障害で、うつ病とそうでない時期を繰り返してきました。記憶も壊れている部分が多くて、自分が繋がって生きてきている感覚はあまりありません。

比較的小さな絵をちょこちょこ描くことを手遊び的にしていましたが、前回の鉛筆画は私にとっては大きな絵の部類でした。をれを自分なりに完成させられたことで、「描ける今のうちにもう一つくらい描きたい」と思いました。

前回の絵の目標が[完成させること]だったのに対して、今回は[何度でもやり直そう]という気持ちでした。

とはいえ一番の動機は、達成感でも生き急ぐつもりでもなくて、絵を描いている時間が楽しかったことでした。

 

 

モデルになる人を探していましたが、例えば歌手のジャケット写真のように写真自体に馴染みがあり過ぎると、描きたい欲求が掻き立てられませんでした。だからといって女優さんの写真を探すと、雑誌に使われた画像などが見つかります。雑誌のコンセプトに合ったメイクや髪型の女優さんは魅力的なのですが、その人らしさよりもトレンド感を強く感じて、これもまた描きたいと思えなくなってしまいました。何故ここまで私がわがままに自分の欲求に従うかというと、絵を描く目的の中で一番大切にしているのが、自分を楽しませることだからです。

モデルさん、モデルさん……と考えていたときに浮かんだのが、Twitterで繋がりを持ってもらっている えみりさんでした。彼女はプロのモデルさんで、とても魅力的な個性の持ち主でした。

前回は勝手がわからず鉛筆を一本しか使いませんでしたが、せっかく色々な濃さ・硬さの鉛筆が売っているのだから、少し買い揃えて使ってみることにしました。

 

 

全体を描いてみると、またしても元の参考画像とまったく違った印象の顔が描けてしまいました。全然違うのに、どこが違っているのかわからない。客観視するために、写真を撮って時間を置いて見てみました。この写真を撮って見るというのが私にはわかりやすくて、完成するまでに何度も、撮っては見るを繰り返して描き直しました。

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前回は指やティッシュペーパーでぼかしていたのを、広い面はティッシュペーパーで、細かいところは綿棒でぼかしてみました。

[何度でもやり直そう]として、描いてぼかしては消して、また描いてなど何度も繰り返しました。

使っているのはケント紙で、ケント紙は目が細かくて丈夫な紙です。ですが何度も描き直していたら、表面の質感が変わってきてしまった部分がありました。当たり前ですが無限の耐久性があるわけではなく、ケント紙の限界を確かめることになりました。

 

また、鉛筆で描いた紙の上で手を動かして別のところを描いていると、手の小指側の側面で擦れてしまうのが気になったので、紙よりひと回り小さな透明の下敷きを手の下に置くことで解消しました。

 

 

使った道具

鉛筆:3H,2H,H,F,HB,B,2B,3B,6B

紙:ケント紙A4

練り消し,ティッシュペーパー,綿棒,透明の下敷きB5,カッター

 

鉛筆は三菱ハイユニを中心に使い、少しずつ買い足しました。FやHの違いがよくわからず揃えていませんでしたが、絵が出来上がりに近付くにつれてHBの使い勝手のよさに気が付いて、もう少し硬い芯の物が欲しくなりました。6Bは興味本位で買って使ってみましたが、特に「これでなくては!」と感じる機会はありませんでした。

 

 

出来上がりが近くなってきてからの数日は、なかなか気になるところが無い状態にならずに、描き進める作業というよりは直す作業が続いて、楽しさよりもツラさが勝ってしまう感じがしました。そういうときは、楽しむために描いているのに本末転倒なので、敢えて触らない日を設けました。

 

SNSに写真のようなリアルな鉛筆画を載せている方は、パーツの位置や形や大きさを直す作業が必要ないように、トレース台を使っていたりグリッド線を引いたりというちゃんとした手順を踏んでいるそうです。

実は私がたまに行く画材屋さんにもトレース台は売っていました。専用の道具を使い、正攻法でやれば、ケント紙の限界なんて垣間見なくて済むのは、薄々気づいていました……。

それでも私が時間と手間を掛けたのは、写真のようなリアルな作品を描くことよりも、形を捉える能力を少しでも鍛えたかったからでした。

 

小学4年の途中から中学卒業まで不登校だった私は、その間の図工や美術の授業を受けていません。自力で絵を沢山描いてきた人とも違い、人生で絵が描ける時間は少ないと思います。

今回の鉛筆画を描くことで、この作品を完成させることと同時に、形を捉える力をつけて次なる絵に生かせたらいいなという気持ちがあったのでした。

 

「もう完成でいいだろう」と思うのに、なかなか完成しない。自分が納得するかどうかの問題なのですが、自分を納得させることこそが難しかったです。結局、気が済むまでやるしかありませんでした。

 

1ヶ月以上掛かって出来上がったのがこちらの鉛筆画です。

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自分の中では史上最高の出来です。

モデルの えみりさんにもお褒めいただいて嬉しかったです。

描き上げるためのポイントは、描きたい!と思えるものを描くことだと思いました。