経緯と目的
自分の愛着形成について意識するようになったのは、岡田尊司先生の本を読んだときにセルフチェック項目があったのがきっかけだったと記憶しています。当時身近だった人にもチェック項目を質問してみましたが、比べると私のほうが圧倒的に愛着障害の傾向が強くて意外だったのでした。自分は親に大切に育ててもらったと、自分の誕生日とは親に感謝する日だと思っていました。
私は心理学・発達科学を専門としているわけでも、個人的に新しいことを学んでいるわけでもありません。ただ自分の在り方についてより好いことを知って取り入れたいと思っています。記憶は頼りにならず、現在は読書もまともに出来ない状態です。ですのでこの記事は、個人的なイメージを記す備忘録のひとつでしかありません。
愛着形成のイメージ
自己の本質が木だとして、養育者の “まなざし” がこの木に向け与えられる好環境だとします。
環境は、土壌や気温や日当たりです。
愛着形成は船と港の関係に例えられることが一般的です。養育者が港で、そこを帰る場所として船は沖へ出ます。大海原でもしも怖い体験をしたときには、いつでも元の港に戻れば安心できます。港は安全基地であるのです。
船と港の関係に例えたときの、港よりも能動的で、自己が成長してもなお影響を与え続けるものとします。
木の幹の周りに囲いをして不安定な幹を支えて育てようとする自助機能があるとします。これは自己を守ると同時に周囲の世界から自己を隔絶する役割も持つものです。
自己の本質がうまく育った後に世界と関わりを持っていくには囲いを壊していき、それでもなお木として立っていられるようになる必要があると考えます。
左の木は、健全に生きている木です。上に伸びている部分が大きく見えますが、見えない地中には地上に出ている面積よりも大きい根っこがあるかも知れません。
一方で右の木は、地面に上手く根を張ることが出来ずに、命を保つことが危うい状態です。自己が立っているのが危ういので倒れてしまわないように、また風に飛ばされるなどの外からの刺激に負けてしまわないように、周囲を何かで囲ってしのいでいます。
左右どちらの木の絵でも共通することは、グレーに塗られた部分に力が使われていることです。
左の木は、高く太く成長しながら光を受ける葉を沢山つけて大きくなることにエネルギーが使われています。見えない地中では根も広く大きく蔓延っていて、根を長く深くすることにもエネルギーが使われているでしょうが、この絵ではその姿は省略しています。ですが、根が地面と繋がっていて地中の水分や養分を受け取ることは、木が成長しきっても続きます。また、根の存在は、地上に出ている部分が大きくなっても木が倒れてしまわないように支えています。
右の木の絵では、木の周りに囲いを作ることにエネルギーを使っています。ブロックか何かを積んで囲いを作るイメージです。根を張って、高く大きく成長すること自体ではなく、どうにか事切れないためにエネルギーを使ってしまっています。そして、木自体がしっかり根付いて大きくなろうとするときには、囲いを撤去するのにまたエネルギーが必要になるのです。
大人になっても、子どもの頃の影響を受け続けて生きづらいと感じる、自己と他者との距離や関係や自己についての認識の持ち方に影響を与え続ける。人が成長する過程には、そういった要素がある気がしました。