考えの調理場

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【北京五輪】フィギュアスケート女子 BEIJING2022

北京オリンピック2022 フィギュアスケート女子シングルの試合を観ました。

4回転ジャンプを決めながら演技全体を通して高い完成度だったアンナ・シェルバコワ選手が金メダル。5本の4回転ジャンプを組み込んだ男子並みの演技構成を多少の乱れのみで滑り切ったアレクサンドラ・トゥルソワ選手が銀メダル。ショートプログラムに続き、フリープログラムでも磨きをかけた自分の演技を出し切った坂本花織選手が銅メダルでした!

 

近頃のフィギュアスケートを観てきていなかった私は、ジャンプのバリエーションに富んだ選手の多さに回転数の多いジャンプをぽかーんと呆気に取られながら観ました。レベルが高過ぎて、「あぁ凄い選手がこんなにも活躍する時代なのだ」と思いました。

 

当時見ていなかったのか、見たのに忘れてしまったのかわかりませんが、私自身は前回の冬季オリンピックのことをあまりよく知りません。もしかしたら病状でテレビを眺めていることも出来なかったのかも知れません。

余談ですが今大会で試合とは別にちょっとテンションが上がったのは、アダム・リッポン氏が選手ではなくコーチとしてオリンピックに来ていたことでした。時は経つものですね。

 

 

河辺愛菜選手の演技とインタビューを見て

17歳にして初めての大舞台で、6分間練習で他の選手に惑わされてしまったと話していたショートプログラム

フリーへと駒を進め、攻めの姿勢で跳びにいくトリプルアクセル。ミスがあっても滑り切る強さ。滑り終えたインタビューでは「次はオリンピックに出るだけじゃなくて」「4年間必死に頑張りたい」と涙ながらに語ってくれました。

観ていても、フリープログラム前の練習ではなかなかジャンプが決まらずいいイメージで始められなかった様子でした。失礼ながらトリプルアクセルを回避してダブルアクセルで確実に決めていく選択肢もあるのかな? などと思っていました。しかし彼女は挑んでいきました。私は「あぁオリンピックに出るような選手ってやっぱり強いんだな」と、心を強く持ってぶつけていった河辺愛菜選手に見せつけられました。

思うような演技ができずにフリーの点数がついたキスアンドクライでは、コーチも慰めることさえ憚られるほど “大舞台での結果” に打ちのめされている様子でした。

 

樋口新葉選手に魅了される

今回のオリンピックの開会式前から始まっていたフィギュアスケート団体の、女子ショートプログラム樋口新葉選手の演技を観ました。団体では日本は3位銅メダルに輝きましたよね。

女子シングルのショートプログラム前の樋口選手は、とても自分の練習に集中している様子でした。団体戦を経て緊張を乗り越えたのかなと感じました。演技開始の時の表情も、周りから見られている自分として優しい笑みを湛えていた印象の団体の時とはまた違って、集中して演技に入り込んでいるように見て取れました。

しなやかで優しい女性らしさの中に高難度のジャンプが組み込まれていたショートプログラム。衣装も振り付けも綺麗でカッコイイ、フリープログラムのライオンキング。それらに引き出される樋口選手の多面的な魅力に心が掴まれました。

最終的には5位入賞という順位でしたが、オリンピックでトリプルアクセルを決めた女子選手5人目となり、日本人でショート・フリー共にトリプルアクセルを成功させたのは浅田真央選手以来のことでした。

 

 

練習では何度となく成功していることが、練習通りにできなくなってしまうのが本番なのだと思います。だからこそ、大きな国際試合では全員の自己ベストが出るような試合になるように祈るような気持ちで見ています。一方で、ミスが出てしまっても諦めずに最後までやりきる強い気持ちに心を打たれることも多いです。

 

 

自己ベストを揃えてきた坂本花織選手

周りの選手の雰囲気や滑走順でプレッシャーが掛かっても、揺るぎない自分の力を発揮したのが、坂本花織選手が銅メダルに輝いた勝因だと思います。

他の選手のように3回転半や4回転のものはありません。しかし、終始スピードに乗った流れの中で繰り出されるダイナミックなジャンプは素晴らしく質が高く、そんな技の数々が一つの演技にまとまっているのは見ていて気持ちの良いものでした。

自分のことに集中することに関してずば抜けている印象でした。ショートプログラム後やメダル確定後の涙は、それが本当は凄く難しいことなのだと物語っていました。

 

 

今大会で恐らくもっとも話題になったのは、ROCのカミラ・ワリエワ選手のドーピング問題だったことでしょう。

スポーツ仲裁裁判所なるものの存在を知ることになりました。そしてスポーツ仲裁裁判所の見解と大会側IOCの見解が一致しないまま日程が進んでしまうことがあるのだということも。

IOCの[ワリエワ選手が3位以内に入ったらセレモニーは見合わせる]という姿勢も、個人的には初めは理解できませんでした。

ショートプログラムのワリエワ選手は、嘘みたいに綺麗で危なげなく、それでも凄く難しいことをやってのけるのでした。

ショート1位でフリーの滑走順が最終滑走に決まり、直前の数選手の演技で歴代最高得点などの歴史が刻まれていく会場でのフリープログラム。それまでのワリエワ選手の演技とは同じ人と思えないほど上手くいかない結果でした。

彼女は世界一を競う選手であると同時に、人間でした。人生のほとんどの時間を注ぎ込んで競技をやってきた、15歳の人間だったのです。

もしかしたらIOCは、こうなることを予想して、或いは望んでいたのではないかと思ってしまいました。

 

また、セレモニーのときの銀メダリストのトゥルソワ選手の様子が自然ではなくメイクも崩れていて、沢山泣いた後に見えました。後日、セレモニー前に泣きながら何かを訴えて女性コーチのハグを拒んでいる様子の動画を見ました。ロシア語は全くわからないのですが、とても辛そうでした。「この競技が嫌い」「もう氷の上には行かない」と言っていたらしいという噂を聞きましたが……それが本当に彼女の発言内容だとしたら、一体どんな経緯だったのでしょうか。

 

 

選手たちにとって競技は、人生を掛けて心血を注いできたものだから酷く辛そうな選手を見ると苦しくなります。私も見ていて何度か泣いてしまいました。

私は素晴らしいものを見せてもらっている恩恵を受け取るばかりなので、若い選手に「まだ若いんだから次頑張りなよ」とは、到底簡単には言えません。

いろんなことと闘いながら大会を終える選手たちに、ありがとうと言いたいです。

 

最後に、坂本花織選手 フィギュアスケート女子シングル日本人4人目(12年振り)のオリンピックメダル、おめでとうございます!